2009年採集記録


 この記事は、よい子の蟲だより№226(2010年3月31日)および№229(2011年3月31日)に掲載されたものを、一部加筆修正してアップしたものです。


■ 3月21日(土) 滋賀県湖北地方のギフの下見

 最近は3月中は活動しないことに決めているが、あまりの高温続きのために腰が浮き始めた。翌週は土・日とも仕事が入っており、この日行かないとおいてけぼりを食うような気がして、仕方なく下見に出かける。

 旧今津町酒波から旧マキノ町石庭(いしば)周辺を歩く。各地でカンアオイの自生を確認したが、桜はまだ蕾でさすがにギフの発生はもう少し先。石庭にはカタクリの大群落があり、日当たりの良い場所ではすでにかなり開花していた。

[記録]3月21日(土) 同行者 雅恵

滋賀県高島市(旧今津町、旧マキノ町)各地 ギフ null

 


■ 4月5日(日) 滋賀県湖東地方のギフの下見?

 前日は雨で彦根の最高気温は9℃。この日の彦根の最高気温予想14℃では行くだけ無駄とも思ったが、家でくすぶっているのも精神衛生上良くないし、もしかしてもしかしたらという淡い期待も抱きつつ、下見と称して出かける。

 彦根市小野町-米原町番場-米原町大野木-関ヶ原町玉と回ったが、小野町と番場でカンアオイの自生を確認したもののギフは観られず。各地とも桜はチラホラ咲き。午前中は曇りで昼ごろから薄日。寒い一日だった。

[記録]4月5日(日) 同行者 雅恵

滋賀県彦根市・米原町各地 ギフ null

 


■ 4月11日(土) 滋賀県湖北地方のギフ(今度は本番)

 ギフで良い思いをする第一の条件は、まずは時期をピッタリ当てることだというのが私の持論である。にもかかわらず、3月21日に下見をした湖北地方のギフがどうしても気になって、もう遅いと分かっていながら、吸い寄せられるように湖北に来てしまった。

 旧マキノ町石庭では、目星をつけてあった2か所のポイントでそれぞれ2♀と1♂が出迎えてくれたが、案の定♂はボロボロ。♀もかろうじて、といったところだった。

 旧今津町酒波では何か所かでカンアオイの自生を確認しており、石庭よりも期待が高かった。が、なぜかギフは影も形もない。この場合、いない原因が場所の問題なのか、それとも時期の問題なのか分からなくなってしまう。だから絶対に時期を外してはならないのだ。自分が目星を付けた場所にギフがいるのかいないのか、こうして結局何も得られないまま、宿題だけが残った。

 石庭、酒波寺とも桜は満開を少し過ぎ「散り初(そ)め」といったころ。酒波寺裏山の尾根付近の桜は丁度満開だった。

 この後、少し標高を上げて箱館山スキー場周辺や椋川周辺を探したが、景色はまだ早春でギフは未発生のような気もするし、一方で暑いぐらいの陽気となり、これで飛ばなかったらいったいいつ飛ぶんだっー!と、季節感のギャップに苦しんだ。

[記録]4月11日(土) 同行者 雅恵

滋賀県高島市マキノ町石庭 ギフ 1♂2♀(♂はボロ、リリース)

滋賀県高島市今津町酒波ほか ギフ null

 


■ 4月12日(日) 福井県若狭地方のギフ

 湖北のほかに、実はもう1か所下見がしてある場所があった。前年の12月、雅恵の誕生日に、「たまには蝶々抜きで美味しいものでも食いに行こうか」と、雅恵を誘って若狭へ出かけた。1日目は約束どおりのんびり観光して、夜は越前ガニをたらふく食った。翌日、「今日はもう雅恵の誕生日じゃないから、オレの好きにしていいんだよな」とかなんとか言って、大飯町から小浜市にかけて何か所かギフの下見をして歩いた。中でも小浜市本保では、眼下に紺碧の若狭湾を見下ろす稜線でカンアオイを見つけ、「ここで海を眺めながら雅恵と一緒にギフが採れたら最高だね」とか何とか言って、雅恵を呆れさせた。

 そんな訳で、きっともう遅いと思いつつ、前日同様吸い寄せられるように若狭へ来てしまった。前日から2日続きの快晴で気温もぐんぐん上がり、4月中旬とは思えないほど暑くなったが、ギフは影も形もなかった。2日続けて同じ過ちを繰り返した。

[記録]4月12日(日) 同行者 雅恵

福井県小浜市本保 ギフ null

福井県三方郡三方町世久見 ギフ null

福井県遠敷郡上中町河内森林公園 ギフ null

 


■ 4月18日(土)・19日(日) 富山県五箇山周辺のサイシン食いのギフ

 当地は2006年5月3日・4日に訪れ、「桜はとうに満開過ぎにもかかわらず、どこも残雪が多く、快晴のなか丸2日間探し回って4か所で4♂という貧果」(蟲だより211号)に終わっている。残雪のためにサイシンが芽吹いておらず、発生地の手がかりさえつかめずに苦しんだ記憶がある。サイシンはこの点で常緑のカンアオイとは大いに勝手が違う。「残雪の多い年にサイシン食いを探すのは得策でない」―― このとき得た教訓である。

 以来、2006年のリベンジを狙っていた。今春は異常高温のため残雪はとことん少ないようなので、フライング気味だった前回よりさらに2週間以上も早いこの日を決行日とする。

 現地に着くと、予想通り前回よりも季節が進んでおり、桜は「落花盛んないしは散り果て」といったところ。各地でサイシンは葉を広げていてよく目立ち、発生地の特定は比較的容易。前回探し回ってなかなか見つからなかったのが嘘のように、2日間で、旧平村上松尾で2か所、同寿川で3か所、旧上平村猪谷で2か所、旧利賀村阿別当で1か所の計8か所のポイントを見出して49頭採集の成果をあげることができた。

 2日間の採集・調査地点を標高順に並べたのが次表である。(1)と(2)、(4)から(6)はそれぞれ一連のポイントで、麓の発生地とその上のピークという関係にある。

 
★五箇山周辺採集・調査地点(2009年4月18日・19日)  
日付 地名 標高 数・鮮度 状態
(1) 4月18日  上村猪谷(発生地) 320m  1♂1♀ a  発生後半
(2) 4月19日  上村猪谷(ピーク) 405m  3♂ a'-b 発生後半
(3) 4月18日  平村小来栖(ピーク) 437m  null
(4) 4月18日  平村寿川(発生地)

420-430m

 7♂1♀ a-b 最盛期
(5) 4月18日  平村寿川(発生地)

470-480m

 3♂1♀ a-a' 最盛期
(6) 4月18日  平村寿川(ピーク) 502m  8♂ a-b 最盛期
(7) 4月19日  利賀村阿別当(発生地) 530-630m 15♂1♀ a-a' 適期
(8) 4月18日  平村上松尾 600m  1♂ a 発生前半
(9) 4月18日  平村上松尾 660-690m  7♂ a-b 発生前半

 今回、最初に行ったのが(9)で、残雪がちょうど消えかかったところでバッチリ発生前半から適期かと期待したが、最初に採った♂がやや痛んだ個体で、その後もスレ・カケばかり。最後の7頭目にしてようやく完品だった。この状態だけをみると「最盛期過ぎから発生後半」を疑わせるものがあったが、周囲の季節の進み具合と、少し奥へ行くとすぐに残雪が多くなってギフが観られなくなること、期待したほど個体数が多くないことなどから、逆に「発生初期から前半」と結論付け、この後もっと標高の低い場所を攻めたのが大正解だった。雪国では残雪の影響で特に発生初期はダラダラ発生となり、ピーク前なのにボロやスレが多い、ということをこれまで何度か経験している。今こうして表に整理してみると(9)が発生前半であったことは疑いの余地がないが、その日その場所では結構難しい判断だった。エッヘン。オッホン。

[記録]4月18日(土) 同行者 雅恵

富山県南栃市(旧平村)上松尾 ギフ 8♂(内1♂雅恵)

富山県南砺市(旧平村)小来栖 ギフ null

富山県南砺市(旧平村)寿川 ギフ 18♂2♀(内5♂雅恵)

富山県南砺市(旧上平村)猪谷 ギフ 1♂1♀

4月19日(日) 同行者 雅恵

富山県南栃市利賀村阿別当 ギフ 15♂1♀(内6♂雅恵)

富山県南砺市(旧上平村)猪谷 ギフ 3♂(内1♂雅恵)

 


■ 4月29日(水祝) 福井県勝山市法恩寺山のギフ

 予想したこととはいえ、予想以上に♂は鮮度不良。25日(土)・26日(日)の両日が雨で、その後も低温が続いていたことを考えると♂は24日(金)までにほぼ出切ったらしい。一般にはまだあまり知られていないポイントと思っていたのに、採集者が結構何人も来ていたのは意外だった。

[記録]4月29日(水祝) 同行者 雅恵

福井県勝山市法恩寺山 ギフ 4♂3♀(内1♂1♀雅恵採集。1♀未交尾)

 


■ 5月1日(金) 富山県旧平村山の神峠のギフ

 旧山の神トンネル入口に車を停め、徒歩10分強で尾根に着く。ここから見事なブナの原生林の中へと道が続いているが、入口でいきなりボロボロの♀をネットしてしまった。うーん、どうしましょう…。

 どうしようもないので、そのまま原生林の中へと歩を進める。ブナの原生林の中は、しんと静まりかえった静寂の世界に野鳥のさえずりだけが響き渡っていた。空気までもが凛(りん)と澄み渡っているようで、心が洗われる思いがした。

 しばしの散策で心が洗い清められた後、道は原生林を抜けて潅木帯の中へと進んでいく。まもなく前方に杉木立が現れたと思った途端、ギフが出現! 清められたはずの心は一瞬にして煩悩(ぼんのう)の虜(とりこ)と化し、ネットを振りかざしてギフを追う。道は潅木帯と杉林の境界を尾根に沿って続いており、この道の上にギフはいずこからともなく次から次へと現れる。完品から白化の進んだボロボロまで著しく鮮度にバラつきがあったが、全体にややボロが目立った。

 しばらく夢中になってギフを追い回し、ふと気付いたときにはリリースしたボロだけになっていた。帰り道、ブナの原生林の中で、今どき珍しい学生風の採集者グループとすれ違った。「もう少し行くといっぱいいるよ」と教えてあげたいところだが、欲の皮を突っ張らせて全部さらえてしまったので、残っているのはボロだけだ。もう少し残しておけばよかったと恥じ入るばかりであった。

 ところで、ギフが観られた尾根沿いでは食草は見出せなかった。ブナ林内でも、特にボロ♀がいた入口付近を中心にかなり探したつもりだが、結局食草は見つからず。山の神峠の標高は890mで、尾根で発生しているのなら適期か多少遅めと予想したのだが、どうやら下で発生したものが上がってきているらしい。

 また、この日の観察では尾根沿いの杉林がねぐらになっているように見受けられた。ねぐらポイントというと、普通はヒルトッピングから帰ってきたギフが麓や中腹の杉林をねぐらにしているパターンが多いが、ここでは下から上がってきたギフがそのまま尾根沿いの杉林をねぐらにして尾根に居ついていると思われる。この場合、尾根に居ついているのは♂だけで、♀はもっと下にあるであろう発生地まで下っていることが予想される。だとすると、当地のギフは♂と♀がいわば「別居状態」ということになるが果たして本当だろうか。

 大野豊氏の「富山県のギフチョウ」によると、山の神峠の生息環境は「ブナ原生林」とされているが、少なくともこの日私が観た限りではブナ林とギフの生息とは無関係のように思われた。ただし、最初にブナ林の入口でネットしたボロボロの♀については、別の発生地の個体というのが私の予想であるが、実際のところは不明である。

[記録]5月1日(金) 同行者 雅恵

富山県南栃市(旧平村)山の神峠 ギフ 21♂1♀(内8♂雅恵、1♀はボロ、リリース。♂は他にリリース多数)

 


■ 5月23日(土) 旧利賀村水無の、はるか手前の…?

 蟲だより217号に、2008年水無でのM氏のギフ観察記が載っている。最近、水無はシーズンには林道が止まっていて入れないと聞いていたが、氏は白川村の牛首から入ったらしい。かなり厳しい道のようだがそんなことはどうでもよい。なにせ林道がつながっていて、四輪で入れるということだけで十分である。

 ところがどうだ、白川村鳩谷の林道入口に着くと、さも当然という風情でゲートが下りている。なんてこった。看板を読むと、残雪や工事による一時的な通行止めではなく、要は山菜採りなどのよそ者を締め出すためのゲートであった。

 そして、僕は、途方に暮れる…。なんて言ってる場合じゃないので、再度高速に乗り、富山県側の入口である大勘場へと急ぐ。しかし、大勘場のゲートは確か例年5月いっぱいは封鎖で、6月1日に開くことになっている。だから当然のこととして、大勘場もしっかりゲートが下りていた。当たり前田のクラッカー、なんて言ってる場合じゃないけれど、言うしかないか…。

 万事休したと思ったが、ゲートの脇から別な林道が伸びていたので、最後の悪あがきでこれを行ってみる。林道は意外に奥まで伸びていて、山菜採りの車が相当数入っていた。地形図で確認すると、林道は思わせぶりに水無の方向に延々進んだ後、大きく向きを変えて、なんと牛首まで続いている。ということは、この林道を進めばいったん牛首まで戻り、そこから水無まで行けるということだ。

 行ってみると、当たり前のように途中で崩落して通行止めになっていた。当たり前田のクラッカー…。付近でヤマウドを採って帰った。

[記録]5月23日(土) 同行者 雅恵

富山県南栃市利賀村大勘場 記録なし

 


■ 5月24日(日) 昭和の森のクロミドリシジミ(パート1)

 当地のクロミドリシジミは、F氏が蟲だよりで紹介してくださって以来毎年続けて通っているが、最近不思議な現象が続いている。

<これまでの採集記録>

 2005年6月12日(日)クロミドリ 4♂

 2006年6月11日(日)クロミドリ 4♂1♀

 2007年6月10日(日)クロミドリ 1♀

 2007年6月17日(日)クロミドリ 2♀

 2008年6月8日(日)クロミドリ 1♀

 初めの2年は圧倒的に♂が多かったのに対し、後の2年は早めの時期を狙ったにもかかわらず♀しか採れなかった。そこで、今年こそは絶対に時期を逃すまい決めていた。この年、ギフは平年より2週間以上早い発生だったと思う。クロミドリはこのところ6月10日前後でも♀しか採れていないことを考えると、6月10日の2週間前は5月27日で、それより早めを狙うとすると‥、という計算の結果5月24日のこの日に行くことになった。(いくらなんでも早いんじゃねーの?)

 根拠のない計算ほど無意味なものはない。行ってみると、いつものクヌギ林がいつものクヌギ林でない。クリどころかまだウツギが満開だった。足元の草むらは草丈が低くてやけにすっきりしている。まだ、春と夏の境目のように感じられた。

[記録]5月24日(日) 同行者 雅恵

愛知県豊田市(旧藤岡町)昭和の森 クロミドリシジミ null

 


■ 5月31日(日) 昭和の森のクロミドリシジミ(パート2)

 今年は絶対に時期を逃さない決意だったので、まだ絶対早いと思いつつ、しつこく様子を見に行った。予想に反して途中の道端のクリが5分咲きだったので一瞬色めき立ったが、この木以外に開花しているクリは見当たらなかった。まだゼフの気配は全くなく、30分ほどで切り上げた。帰路、よく見ると咲いているクリはすぐ横に水銀灯が立っており、おそらく長日効果が働いているものと思われた。

[記録]5月31日(日) 同行者 なし

愛知県豊田市(旧藤岡町)昭和の森 クロミドリシジミ null

 


■ 6月6日(土) 昭和の森のクロミドリシジミ(パート3)

 やっと出た。いつものポイントで、叩き出しでいきなりふらっと飛んだ個体は紛れもないクロミドリの♀だと思ったが、採り損じてしまった。次に出た個体を採ると、2週間も前から下見に通った甲斐もなく、やっぱり♀だった。なぜだ! あり得ない。♂はどこへ行った‥?

 クロミドリの♂は敏しょうなうえ他のゼフと違って黒いので、薄暗くなりかけた夕刻のテリタイムに目で追うのは至難の業だ。そのうえテリ範囲が広く、いったん飛び立つと元の枝に戻ってくれない。動体視力に難のある私としては(単に「どんくさい」とも言う)、結局、観るほどには採集できずイライラが募るわけだが、それでも2005年、2006年と4♂ずつの成果だったということは、この2年はかなりの個体数がいたということ。その後の2年は♀しか採れなかったと言うよりも、♂は全くいなかったと言うほうが正しい。このため個体数が激減したように感じた。

[記録]6月6日(土) 同行者 雅恵

愛知県豊田市(旧藤岡町)昭和の森 クロミドリシジミ 1♀

 


■ 6月7日(日) 定林寺湖のウラキンシジミ(パート1)

 以前、蟲だよりでT氏が紹介してくださった定林寺湖のウラキンへ行ってみた。土岐I.C付近ではちょうどクリが満開だったのに、目と鼻の先にもかかわらず定林寺湖では全く咲いていなかった。わずかな標高差でも、確実に季節に差があることを改めて認識。時期尚早と判断してすぐに転戦する。

[記録]6月7日(日) 同行者 雅恵

岐阜県土岐市定林寺湖 ウラキンシジミ null

 


■ 6月7日(日) 昭和の森のクロミドリシジミ(パート4)

 しつこいオヤジとは私のことで、定林寺湖から転戦して今年4回目の挑戦。結果は、またしても判で押したように1♀のみ。これで3年連続♀だけ記録達成! これがオオイチだったらなあ‥。

[記録]6月7日(日) 同行者 雅恵

愛知県豊田市(旧藤岡町)昭和の森 クロミドリシジミ 1♀

 


■ 6月13日(日) 定林寺湖のウラキンシジミ(パート2)

 私はしつこいオヤジなので、2週連続で定林寺湖のウラキンへ。今度は採集者が結構大勢来ていたが、私を含めて良い思いをした者は多分いなかったと思う。クリの花は開花状況にバラつきがあり、咲き始めないしは満開。ただし、満開のものは少なかった。ウラキンは時期的には発生初期ないし前半だった可能性あり。アカシジミ散見。

[記録]6月13日(日) 同行者 雅恵

岐阜県土岐市定林寺湖 ウラキンシジミ null

 


■ 6月21日(日) 三重県旧美杉村のウラキン

 友人から教えてもらった旧美杉村のウラキンポイントへ行く。前年、初挑戦のときは到着後間もなく無情の雨となり、退散。本日は「雨のち曇り」の予報なので、夕方のテリタイムを狙って雨が降る中を昼前に自宅を出発した。

 名古屋西I.C付近で雨が上がり、西に向かうにつれて薄日が差してきた。ここまでは計算通り。チキショー、最近の天気予報はよく当たるぜ。しめしめ、採ったも同然ワッハッハッ!と快調に車を走らせたが、現地に着くとなぜか深い深い霧の中。しかも小雨混じり。大丈夫、「雨のち曇り」なんだから、もうすぐ小雨も止んで、霧さえ晴れればすぐにテリが始まるさ。と、高をくくっているうちにザンザン降りになった。2年連続、雨で退散。

[記録]6月21日(日) 同行者 雅恵

三重県津市美杉町(旧一志郡美杉村)某所 ウラキン null

 


■ 6月25日(木) 三度目の正直の旧美杉村のウラキン

 しつこいようだけれど私はしつこいオヤジなので、2年連続雨にたたられたぐらいであきらめたりはしないのだ。でも3回連続となるときっとへこむので、さすがにこの日は、絶対に雨の心配のない日を狙って平日に夏季休暇を取って来てしまった。6月中に夏季休暇を取るのはさすがに少々ためらわれるが、誰かが最初に取らなければならないのだから仕方ない。

 10時半ごろから叩き出しを始め、間もなく3頭立て続けにゲット。これは調子がいい。しかし、それもつかの間、その後昼を挟んで3時間ほど叩いても叩いても何も出ない時間帯が続き、嫌気が差す。2時ごろやっと2頭追加。3時前後からポツリ、ポツリと出る。山あいに早くも夕暮れの気配が漂い始める4時ごろ、さっきまであんなに出なかった木から当たり前のようにホイホイ出る。しかし、それもつかの間。5時には早くも7mの竿が届く高さに日が当たらなくなり、同時に、はるか梢上でテリ飛翔が始まる。こうなると、届かないうえに全く止まらず、あとは指をくわえて眺めるだけとなる。

[記録]6月25日(木) 同行者 雅恵

三重県津市美杉町(旧一志郡美杉村)某所 

ウラキン 14ex. ミスジチョウ 2♀(ボロ。リリース)

 


■ 6月27日(土) 岐阜県白川町六呂山(パール白川)のゼフ

 当地は美濃地方にありながら、山地性のゼフが観られる貴重な場所である。2007年以来、この日で4回目となった。

 9時半に到着した直後は、山頂付近でジョウザンやオオミドリが立て続けに採れていつもどおり快調な滑り出しだったが、昼前から薄雲が広がったせいか、いつになくメスアカは少なかった。午後からは曇りのうえに風が出て、この時期としてはカラッと爽やかな涼しい日となった。当然のようにゼフは低調となった。

[記録]6月27日(土) 同行者 雅恵

岐阜県加茂郡白川町六呂山(パール白川)

メスアカ 3♂ ジョウザン 3♂1♀ オオミドリ 2♂ ウスイロオナガ 1ex. 

 


■ 7月5日(日) 福井県旧和泉村羽見谷のゼフ

 羽見谷は権化顔のギフとやらで脚光を浴びたが、その環境はどう考えてもギフというよりゼフの生息地である。実際、期待以上にゼフは数が多く、特に午後3時から4時ごろには谷の奥ではおびただしい数のエゾミドリのテリが観られた。しかしながら、♂の最盛期とあってテリを張る♂が多すぎて、どうしてもこれに目を奪われて結果同じものばかりネットすることになる。以前、近くでウスイロオナガを採っているし、伊勢峠付近ではダイセンらしきものを目撃しているので、こういった骨太のゼフを期待したが成果なく終わった。

[記録]7月5日(日) 同行者 雅恵

福井県大野市(旧和泉村)羽見谷

アイノ 2♂ メスアカ 7♂(内1♂雅恵採集) エゾ 21♂ ジョウザン 5♂ クロコムラサキ 1♂ コキマダラセセリ 1♂